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「どういう話か説明しようじゃないか」
「はあ」
「舞台はスイス。エメンタール地方にある、緑の美しい農村だ」
「ふむ」
「マルタおばあさんは、長年連れ添った夫に先立たれてからというもの、すっかり意気消沈してしまっていて、友達や家族もみんな心配している。そんなマルタが、ふとしたことから、五十年前に抱いていた自分の夢を思い出す」
「ほう」
「それは、小さくていいから、いつか闇黒拳の道場を持つことなんだ」
「へえ」
「友達の支援を受けて、マルタはやがて念願の道場を開く。とてもすてきな道場なんだ。しかし、保守的な村の人々は、それをよしとしない。『この静かな村に物騒な闇黒拳なんてとんでもない』というわけだ。彼らは露骨にマルタを煙たがるようになる」
「ふむ」
「折しも村では、天下一武闘会が開かれようとしていた。腕に覚えのある世界中の武芸者たちが、この村にやってくる。そんなところにいかがわしい闇黒拳道場があっては、この村は世間の笑いものになる、というわけだ」
「なるほど」
「マルタは静かに道場で稽古を続ける。一本指立て伏せにも慣れてきたし、小さな熊なら素手で倒せるようになった。友達がインターネットで広報活動をしてくれたおかげで、門下生も徐々に増えてきた。あのアンディ・フグもそのひとりだ。マルタのエメンタール闇黒拳は次第に有名になっていく」
「ふむ」
「そして、天下一武闘会の朝、マルタは、何者かの手によって焼き討ちされた我が道場を目の当たりにする。怒りの魔神と化したマルタは、天下一武闘会に飛び入り参加して、瑞西無双の闇黒拳で強豪たちを薙ぎ倒し、決勝戦の対戦相手を観客ごと邪王炎殺黒龍波で滅殺するわけだ。めでたしめでたし。おしまい」
「はあ」
「どういう話か分かった?」
「やさしい刺繍はどこで出てくるの?」
「やさしい刺繍? やさしい刺繍なんて出てこないよ?」
なぜか秋の方を先に見てしまった。まあそういうこともあるさ。
「検索する女」 - おお、なかなかいいじゃないですか。途中まで「これは普通かなあ」と思っていたけれど、ラストの警察の展開に嬉しくなりました。正体を明かさなかった点はとても良い。分かってますね。
「自殺者リサイクル法」 - ムリヤリなオチに笑ってしまいました。いや、そういうチャレンジ精神は悪くないと思いますよ。しかし主役の二人がカイジと遠藤さんにしか見えない自分がいるので、福本伸行は偉大である。
「理想のスキヤキ」 - そりゃ、まあ、傑作ですよね。素晴らしいの一言に尽きる。うざいは面白い。うざいは正義だ。
「呪い裁判」 - 良い方に入るんじゃないでしょうか。伏線も利いているし、どんでん返しもなかなかいい。オチもお約束どおりだ。ただ、斬新さはない。「理想のスキヤキ」の直後だからね、ちょっとかわいそうだよ。
「夢の検閲者」 - 悪い。これはつまらないよ。同じテーマでももうちょっと膨らませられそうなものなのだけど。
快晴である。洗濯物と布団を干して、渋谷まで走って自転車を回収する。午前中に公園と大学を歩き、イタリアントマトでアイスピーチティーを飲んで、Le Ressort でパンを買い、近所の公園のベンチで食べた。うまい。
お昼過ぎに部屋を出て、町田まで行ってきた。鶴見川で鯉のぼりを眺め、七国山の野道で甲虫の群れを見掛けた。薬師池公園には黒いイモムシと緑のイモムシがいたよ。夏が来るのが楽しみだ。
夕食に鶏肉のソテーを作った。オリーブオイルで鶏肉とタマネギとカブを炒め、酒を加え、塩麹、黒胡椒、バジル、オレガノ、バターで味付けしただけ。ちょっと塩が薄かったので減点三。
夜は代々木公園と代々木上原を走ってきた。楽しいねえ。
「爆弾男のスイッチ」 - あのねえ、市原隼人が舐められっぱなしのままでおとなしくしているわけがないじゃないですか。ラストの報道番組は「蛇足かなあ」と思っていたのですが、「爆弾」発言には笑いました。なるほどね。良い良い。
「輪廻の村」 - いまいち。ベッタベタのシチュを後半でちょっとひねったところは面白かったのだけど、あまりにオチが弱かったのでもうひとつ展開して欲しかった。あと主人公の過去伏線はもうちょっと丁寧に仕込んだ方が良かったのでは。
「クイズ天国 クイズ地獄」 - これはひどい。コメディ系やシュール系が大好きな自分でも、さすがにこれを肯定するわけにはいかない。この設定だったらもっといろいろ遊べたはずでしょう。演出も中途半端だし、これじゃ良純がかわいそうだ。
「真夜中の殺人者」 - お、オチいいね。見事なミスリードでありました。被害者の行動や部屋の内装やタロット占いなど、細かい部分も作り込まれていて好感が持てます。伏線もうまく機能しているし、最後の演出もなかなかうまい。
「ボランティア降臨」 - オチを含めて、普通であるなあ。ラストシーンはいいですね。最初から最後まで最恐モードだった大竹しのぶカッコイイ。こんなひとがボランティアでやってきたら怖くて怖くて三日三晩寝込みますよ。
今回はいまいち。残りも少なくなってまいりました。
最初の六分間には完全に度肝を抜かれました。なにこれ。なんなのよ。
あらすじ。カイジたち一行はいろいろあって沼を攻略しました。藤原竜也は相変わらずバカにしか見えず、吉高由里子はパーフェクト棒読みでした。
というわけで、黒崎のおっちゃんが生瀬勝久だったので「えー!」となること請け合いのカイジ 2 でありました。おまえいちいち目立つんだよ!
これ、主人公は利根川と一条ですよね。確かにカイジは最初から最後まで舞台の中心に立っていて、それなりにチームの勝利に貢献してはいるのだけど、ただの操り人形に見えてしかたないわけですよ。なんでだろうね。
映画作品としては残念ながら最低水準であり、ネタとしても前作より遙かにつまらない。「見よ諸君! 裏 ATM で借金しまくりながらパチンコを打ち続ける、いまだかつてこんなダークヒーローがいただろうか!?」ということでいいんじゃないでしょうか。さあ寝よう。
「『ランボー 4 怒りの貞子』ってどう?」
「え? どういうこと?」
「ランボーが、作戦指令ビデオと間違えて、呪いのビデオを見ちゃうわけよ」
「はあ」
「テレビに向かって、ときどき首を傾げる。もちろん上半身は裸で、うっすらと汗をかいている。最後まで見て、リモコンで画面を消す」
「はいはい」
「そこで電話がかかってくるんだけど、すかさず電話を銃で吹き飛ばすのね」
「まあ、ランボーだからね」
「これ、貞子的には『えー!』ですよ。『こいつアホちゃうか?』」
「さすがに初めてのケースだったろうね」
「さらにはランボー、ビデオテープも燃やして証拠隠滅しちゃうわけです」
「『あー! もうダビングできないじゃん!』」
「そもそも呪いのビデオだってこと、いまいちよく分かってないからね」
「あの映像も、なにかの暗号かと思ったろうね」
「それから一週間経つんだけど、そのときランボーは中東の戦場にいるわけよ。敵陣に忍び込んで捕虜を解放しないといけない」
「相変わらずいそがしいね」
「困ったのは貞子ですよ。さっさとランボーを呪い殺したいのに、『このアホ、なかなかテレビの前に座らん。あったま来るなあ』」
「そんなキャラだったっけ」
「貞子は渋々、敵陣の司令部のモニタから具現化するんだけど、ランボーに雑兵 A と間違えられて、すぐに爆風で吹き飛ばされる」
「貞子かわいそう」
「そうですよ。さすがの貞子もこの仕打ちには怒りますよ。『おまえ、呪われてんだから、もうちょっと怖がれ!』」
「ランボー、恐怖とか、あんまりないっぽいからなあ」
「怒りの頂点に達した貞子は、怨念の力でランボーを殺そうとする。『死ね!』『く、しまった、髪の毛爆弾か!』」
「髪の毛爆弾て、なに」
「ただ、怒りと執念深さに関しては、ランボーも貞子に負けてないからね」
「ランボーより怒る奴なんてそうそういないからね」
「かくして、ランボーと貞子、怒りと怒りの頂上対決が始まるわけです」
「ラストはどうなるの?」
「『ねえランボー……、本当のことを教えて。貞子は、死んじゃったの?』『いや、あいつはまた来る。きっと来る』」
これは二度目。みんな若いなあ。
「エキストラ」 - 香取慎吾の陰謀論ワールド。起承転々結がよく出来ている。コメディっぽい演出もいいね。絶望オチもきれいに仕上がっている。
「13人目の客」 - ブラック草g毅がスタンド攻撃を食らって真っ白になるまでの物語。岸辺露伴ならどう切り抜けるだろう。ラストは下品で良くない。
「BLACK ROOM」 - まあ、傑作ですよね。キムタクにこれを用意した奴は本当に分かっている。全く必然性のない表現を入れるところが素晴らしい。
「僕は旅をする」 - 稲垣吾郎のリリカル姉フェチストーリー。謎そのものは提示された瞬間に解けているのでどうでもよろしい。ラストはいいですね。
「オトナ受験」 - これに抜擢されたとき、中居くん、落ち込んだと思うんですよね。最初から最後まで既定路線。荒唐無稽な設定を楽しめばよろしい。
どの話も力が入っているね。良い良い。
曇りであった。午前中に庭にいたら、ムクドリがやってきた。そういえば昨日も来たな。お隣さんの女の子が窓枠に立って「ヤッホー」と言ってきたので「ヤッホー」と言い返す。
お昼前に新宿に行き、LUMINE 2 と 1 へ。ブックファーストで本を買い、柿安で昼食を取った。中央線で御茶ノ水に行き、神田明神、湯島天神、本郷キャンパス、根津神社を通り抜けて、千駄木まで歩いた。五月祭は完全にスルー。サンマルクカフェでアイスコーヒーを飲んで帰った。
夕食に塩麹漬け鶏肉の焼きそばを作る。夜は近所と大学を走ってきた。
ドーキンスとか流行ってたね昔は。長谷川眞理子先生はどうされているのだろう。
原作もポカーンだったけどそれにも増してポカーンですねこりゃ。まあ原作に忠実に作ったらこうなりますよ。そんなことはよく分かっている。遺伝子とかウイルスとかの話になっちゃうところも原作どおり、極限生命体貞子 NA を台無しにしちゃうところも原作どおりです。それはそれでいい。原作は、前作の「リング」の文脈をひっくり返したところが意外で面白かったんだから。ただ、テレビから出てきてしまった貞子を知っている我々としては、アナザーらせんが見たくなりますよ。リング 2 が見たくもなりますよ。
いやほんとすがすがしいまでに貞子が台無しだったので笑ってしまいました。コミュニケーションできる貞子なんて! これはね、ジェイソンがディズニーランドに行くようなもんですよ。ペニーワイズがブラクラで焦り出すようなもんですよ。T1000 が「 L チキください」って言うようなもんですよ。
というわけで、貞子というバケモノの一ファンとして、この話には蓋をしてなかったことにさせていただきます。らせんは、鈴木光司自身による、リングの二次創作なんですよ。あれはキャプテン翼のアレや聖闘士星矢のアレたいなもんなんですよ。それでいいじゃありませんか。
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