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Main | 2005年10月 >>

- 05/09/09 -

[ Introduction ] まいななについて

 まいななは以下の七つの嘘によって構成されていない。

  1. 雑文を中心としていない。
  2. 作り話や思い付きを書かない。
  3. Movable Type なんか使わない。
  4. 何があっても絶対にくじけない。
  5. 神経症は君だけじゃない。
  6. みずのはごろもを二つ手に入れない。
  7. 明けない夜が来ることはないし、もう恋なんてしないなんて言わない。
  8. 6 の次は 7 だけど、7 の次は 8 ではない。
  9. よく分からないだろうけど、気にするな、僕だってよく分からない。

 因みにまいななとは僕の洗礼名ではない。

- 05/09/11 -

[ ShortEssay ] ドラクエ 2

 ドラクエ 2 のふっかつのじゅもんでは 64 種の文字を 52 桁入力する。つまり考えられる場合の数は、すべての桁に入力したと仮定しても 64 の 52 乗で、これは 2 の 312 乗に等しく、十進法では 94 桁となる。ものすごいことになっている。94 桁である。無量大数ですら 69 桁、宇宙の年齢を秒にしても 18 桁しかない。流石はドラクエ 2。その世界は宇宙よりも広大だ。

- 05/09/12 -

[ ShortEssay ] マッハ 2

 初日の出の定義が気になる。あれは二回以上見てはいけないものなのだろうか。マッハ 2 で西に移動できるなら、昇った朝日を沈めることだってできるはずだ。すると任意の回数だけ初日の出が見れることになる。なーに言ってんでいべらんめえ、初日の出は一年に一回だけって相場が決まってんだよ、と仰られる方がいるかも知れない。上等じゃないか。マッハ 2 を使っていつまでも初日の出が来ないように逃げ回ってやる。その年を一年間一度も太陽を見ずに過ごし、そして大晦日と翌年の元旦には朝日を拝めば良い。これで二日連続、初日の出だ。江戸っ子の方もこれなら文句あるまい。誰か、お金と時間と忍耐力と愚かさに自信のある方は、是非チャレンジして欲しい。マッハ 2。そこには、未だかつて人類が成し遂げたことのない夢への、大いなる希望が眠っている。

- 05/09/14 -

[ ShortEssay ] ターミネーター 2

 ターミネーター 2 という映画がある。全編通してサラ・コナーが精神病院で見た妄想だという大胆な仮説まである有名な作品だが、あの映画には「ハスタラビスタベイビー」という名科白があった。和訳は「地獄で会おうぜベイビー」という素晴らしいもの。さて、この「ハスタラビスタ」が何語なのか御存知だろうか。なんでもスペイン語で、正確には「アスタラヴィスタ」らしい。そしてその意味は「さようなら、また会える日まで」だという。立派な日常用語である。これでもうスペインには行けない。通りすがりの村娘さんに道を尋ねて、親切に教えてもらったとしても、去り際には「地獄で会おうぜ」とにこやかに言われてしまうのだ。これではショットガンやロケットランチャーがいつ取り出されるのか知れたものではない。恐るべし、スペイン。誰もがロバート・パトリックの気分を味わえる夢の国である。

- 05/09/16 -

[ ShortEssay ] スト 2

 スト 2 の真の主人公はやはり赤きサイクロンことザンギエフであろう。ザンギエフ。彼に関して語るべきところは無数にあるのだが、今回は特に彼の名前に注目したい。ザンギエフ。口にするだけで面白いから不思議だ。ザンギエフ。しかしもしかしたらロシアでは、ザンギエフなんて伊藤や坂本くらいにありふれた苗字なのかも知れない。もしもザンギエフが苗字ではなく下の名前だとしたら、親御さんが生まれてきた赤ん坊に祝福を込めて付けた名前なのだとしたら、異文化コミュニケーションの難しさを改めて思い知らされるところである。ユウキやハルカといった普通の名前が、ロシアではザンギエフなのかも知れないのだ。赤きサイクロンことザンギエフ。いや、きっとザンが名前でギエフが苗字に違いない。

- 05/09/17 -

[ ShortEssay ] 勘平という男

 昔々あるところに勘平という農民がいた。この男はお調子者で、厳粛さや真面目さを嫌い、他人に対してふざけた態度を取ることが多かった。堅物で有名な男にはこっそり髪に花を挿し、寺の読経の際にはわざと大きないびきをかいた。しかし勘平はその明るさから皆に好かれていたので、特に大きな揉め事になることはなかった。さて勘平には幼馴染のあかねという娘がいて、二人は密かに互いを慕う仲であった。しかし世の事情は二人が添い遂げることを許さず、あかねはどこか遠くに嫁に行ってしまった。勘平はかつての明るさを失い、下を向いたまま畑に出て、下を向いたまま家に戻る生活を送ることになった。やがて風の便りが届き、勘平が知らされたことには、あかねは嫁ぎ先の母に酷く虐められ、世を儚んで井戸に身を投げてしまった、ということであった。次の日、勘平は行方をくらました。誰一人として行き先を知る者はいなかった。ある者は勘平もこの世を儚んで身を投げたのだと言い、ある者は勘平は仙人になるための修行を始めたのだと言った。月日が流れるに連れて、人々は勘平のことを口にしなくなり、少しずつ忘れていった。そんなある日、皆の前に再び勘平が姿を現した。しかしその全身は、汗や垢、血や泥に汚れ、修羅の如き様相であり、人の形をした獣であった。勘平は懐かしい故郷に思わず涙し、皆に声を掛けようとしたが、その姿を見るや否や誰もが逃げ出した。勘平は走り出し、かつての友人の一人の後ろ襟を掴むと、ひざまずいて両手を合わせる友人に向かって、自分の右目の下瞼を右手の人差し指で下げ、大きく舌を出した。その様子を見た友人は叫んだ。「ああ、かんべい!」と。このことから、下瞼を指先で下げることを、あかんべい、転じてあっかんべと言うようになったそうである。めでたしめでたし。良かったね。

- 05/09/18 -

[ ShortEssay ] ある母親の話

 聞いた話である。母親が夜の和室で正座をしている。電気を消したので部屋の中は真っ暗だ。両脇では二人の小さな子供が布団に入っている。母親は子供達に向かって楽しそうに言う。実はここにいるお母さんは昨日までのお母さんじゃないんですねー。子供達はびっくりして母親の方に目を向ける。じゃあ昨日までのお母さんはどこに行ったのかというと、食べちゃいましたー。子供達は泣く。そりゃ泣くだろう。怖いって。母親が料理を作っている。休日で夫は昼寝をしている。子供達は近くで遊んでいる。母親は急に夫のところまで行ったかと思うと、子供達に向かって楽しそうに言う。こんなお父さんは要りませんねー。じゃあ目玉をくりぬいて食べちゃいましょうかー。だめー、見えなくなっちゃうー。じゃあ片足だけなら食べても良いよねー。だめー、歩けなくなっちゃうー。いい子供達だ。夫に知られると怒られるので、密かに子供で遊び、育児のストレスを吹き飛ばす母親であった。

- 05/09/19 -

[ ShortEssay ] 耳

 王様の耳はロバの耳という有名な童話があるが、やはり王様は自分の耳がロバの耳であることを相当気にしていることであろう。できることならこんな耳は捨ててしまいたいと考えていることであろう。しかし、どうすればそんなことができるのか。簡単なことである。家来の一人を京に行かせればいい。きっとその家来は知己の医者から長い耳を短くする法を教わってくる。その医者というのは、もともと中国から渡ってきた男で長楽寺の供僧になっていたのだが、まあそんなことはどうでもよろしい。言うまでもなくその法というのは、ただ湯で耳を茹でてその耳を人に踏ませるという、極めて簡単なものである。法を行うことにより、めでたく王様の耳は人並みの大きさになる。しかし王様の気分が良かったのも束の間、今度は長い耳がなくなったために皆から笑われ始め、やがて王様は日毎に機嫌が悪くなるのである。二言目には誰でも意地悪く叱りつけるようになり、しまいには耳の療治をしたあの家来でさえ「王様は法慳貪の罪を受けられるぞ」と陰口をきくほどになる。しかしある朝王様が目覚めてみると、なんと短い耳が長い耳に戻っているではないか。晴々とした心持ちがどこからともなく帰ってくるのを感じる。――こうなれば、もう誰も笑う者はないに違いない。王様は心の中でこう自分に囁いた。長い鼻を明け方の秋風にぶらつかせながら。いや、鼻じゃなくて耳だ。でも王様、長かろうが短かろうが、ロバの耳はロバの耳ですって。

- 05/09/20 -

[ ShortEssay ] のこぎりばば

 日本語にはのこぎりばばという言葉があるらしい。漢字で書くと鋸婆である。意味を辞書で調べてみると「(双方から利を取るからいう)すあいおんなのこと」とある。そこで今度はすあいおんなの意味を辞書で調べてみると「江戸時代、上方で主に呉服類の売買取次をし、傍ら売春をした女」とあった。江戸時代、上方で主に呉服類の売買取次をし、傍ら売春をした女がいたのである。そして双方から利を取っていることから、のこぎりばばなどという妙な名前を与えられていたのである。絶妙な命名センスではないか。しかしそんな一般名詞が定着してしまうからには、そして現代の辞書にまで残ってしまうからには、そんな仕事をしていた人間が一人や二人ではなかったに違いない。江戸時代には何十人何百人もの、のこぎりばば、すあいおんながいたのであろう。侮りがたし、江戸時代。

- 05/09/22 -

[ ShortEssay ] ふくろうみみずく

 ふくろうは良い。名前が良い。ふくは福を思わせるし、ろうは朗を思わせる。ふくろは袋で、くろうは苦労だ。苦労だけが少しネガティブなニュアンスを含んでいるけれど、そこもまた魅力があると言えなくもない。福の神が朗らかに袋を持ってちょっと苦労をしているのだ。いいじゃないか。なんとなく微笑ましい光景である。しかしみみずくは良くない。名前が良くない。みみは耳を思わせるし、ずくはみみずくを思わせる。みみずは蚯蚓で、みずくは水漬くだ。どこを取り出してもポジティブなニュアンスを見付けることができない。男は暗い森の中を歩いていた。もう三日三晩もの間、何も口にしていなかった。最後に水を飲んだのはいつだっただろう。早く街に戻りたいというのに、一向に森は終わることがなかった。やがて男は森の奥にある沼に出た。腐ったような匂いがするが、背に腹は替えられない。男は沼に駆け寄ると水に手を伸ばした。そこで男が目にしたのは、ああ、なんということだろう、水漬く屍ではないか。その背にはみみずくが止まっており、全身の至るところを蚯蚓が覆っている。男は口元に手を当ててあとずさった。屍には耳がなかった。ああ、恐ろしい。ふくろうは良い。みみずくは良くない。

- 05/09/27 -

[ ShortEssay ] 土下座

 日本人なら誰でも知っているだろう。非礼を詫びるための、あるいは降伏を示すための、究極のパフォーマンス。怒れる大魔神もこれを目の当たりにすれば静かに拳を収めること間違いなし。対人関係における最終兵器。それは土下座である。土に下座することから土下座なのだが、しかし土の下に座するのもやはり土下座なのではなかろうか。しかしどうすれば土の下に座することができるのか。たとえ土に穴を掘って入ったとしても、それは単に土の高さが下がっただけのことで、土の上にいることに変わりはない。土下座を字義に忠実に行うためには、土で出来た屋根を用意するか、地球の反対側から見ればここは土の下だと主張するしかないであろう。それが土下座をする人間の態度なのか。土下座。強烈なインパクトを持つこの言葉は、十分に国際語として通用することだろう。ドゲザ。どことなくゴジラに似ていなくもない。ゴジラが GODZILLA であったように、ドゲザは DOGGEZZA となるのだ。ゴジラ対ドゲザ。よく分からないけど、ちょっと見てみたい。きっと軍隊が総力を挙げて土下座をするのだろう。それを見たゴジラは破壊活動を止めて悲しげに海に帰るのだ。いい話じゃないか。ゴジラ対ドゲザ。土の下に座するから土下座ではなく、土に下座するから土下座なのである。忘れないように。

- 05/09/28 -

[ ShortEssay ] マイナー

 日本一マイナーな県はどこか、という南国の風に揺れる椰子の木も欠伸をするほどどうでもいい問題がある。様々な解答が考えられるところではあるが、しかしよく考えてみればこの問題はちょっと撞着気味である。つまり、もし仮に日本一マイナーな県が決められたとしても、その県は日本一マイナーであるが故に逆にメジャーになってしまうのではないか。マイナーだマイナーだと評せられてはマイナーの風上にも置けない。ということは、日本一マイナーな県というのは存在しないことになってしまう。日本一マイナーだと断ぜられた時点で、その県はメジャーになってしまうからだ。では冒頭の問題にはどう答えれば良いのだろうか。良い考えがある。大河を泳ぐ神亀も甲羅を脱いで走り出すくらい良い考えだ。存在しない県の名前を勝手に捏造すれば良いのである。一例としては、拝島県が挙げられる。うん、マイナーだ。文句なしにマイナーだ。淀川県でも谷崎県でも構わないのだが、特に拝島県に関しては、人口百二十九万人、県庁所在地は有本市、特産物は蜂蜜と馬肉、海に面しており四基の原発がある、という設定まで用意されている。同様にして、世界一マイナーな昆虫はアトリギス、日本一マイナーな人間は上米良平八、世界一マイナーな曜日は Jomsday である。奇跡を起こした聖人も二度寝してしまうくらい役に立たない雑学ですね。

- 05/09/29 -

[ ShortEssay ] 魔法のような言葉

 窮状を切り抜けるための魔法のような言葉がある。これを使えばどんなピンチも問題ではない。一天四海は我らの手中にある。その言葉とは、あなたと僕とは絶対に分かり合えない、である。是非、口に出して頂きたい。あなたと僕とは絶対に分かり合えない。たとえば会社に遅刻してしまったとしよう。遅れて出社してきた姿を見て、課長は烈火の如く怒り出す。というのも課長は、昨日奥さんが街で若い男と腕を組んでいたのを偶然にも見てしまい、虫の居所が悪かったのだ。課長は机に拳を叩き付けて、隣の課にまで聞こえる声で怒鳴る。一体どういうつもりかね。君も責任ある社会人ならして良いことと悪いことの区別くらい付くはずだろう。こんなことでは君は例の企画から外れてもらうよ。大ピンチである。ここは魔法を使うしかない。課長の机に両手を突いて、斜め下を見ながら呟く。あなたと僕とは絶対に分かり合えない。これで万事解決である。課長は機嫌を直し、企画は大成功、髪はふさふさになり、身長が三センチ伸びる。この魔法はどんな局面にだって通用する。結婚式のスピーチで困ったときは新郎に向かって、あなたと僕とは絶対に分かり合えない。連続殺人をしてしまったときは検事に向かって、あなたと僕とは絶対に分かり合えない。花瓶を割ってしまったときは欠片に向かって、あなたと僕とは絶対に分かり合えない。斜め下を見ながら呟くところがポイントである。決して相手の目を見てはいけない。

- 05/09/30 -

 クロネコヤマト

「こないだ僕、求人情報誌を見てたんですよ」
「何かいい仕事でも見付けたの? 手品師? 将棋指し?」
「違いますよ。そんなの募集してるわけないじゃないですか」
「そうとも限らないだろう」
「そりゃそうですけど、とにかく違います」
「はいはい、それでどんな仕事があったの?」
「クロネコヤマトの配達です」
「……ちっとも面白くないじゃないか」
「誰も面白いなんて言ってませんよ」
「で、そのクロネコヤマトがどうしたんだ」
「実はその広告、黒地に白抜きだったんです」
「そんなの珍しくもない。よくあるデザインじゃないか」
「でも、よく考えて下さいよ」
「何を」
「クロネコヤマトなんですよ。ほら、ロゴがあるじゃないですか」
「……」
「……」
「……猫が白い?」
「そうだったんですよ」

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