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- 11/12/30 -
■ 千円切手事件
こないだ千円切手を買ったんだけど、いやー、あれはすごいね。すごすぎた。
あなたたち、千円切手を買ったこと、ありますか? ない? そりゃそうでしょう。あなたたちみたいなひとたちじゃ。あれでしょう? ふだんから十円切手ばっか買ってんでしょ? 十円切手七枚でなんとか送れないかなーとかトライしちゃってるんでしょ? すぐに奇数枚だってバレないように、あっちこっちにばらして貼ったり、ちょっと折ったり切ったりしてるんでしょ? 立体切手! これって新しくね? とか言っちゃってるんでしょ?
千円切手さんはね、そんなあなたたちとは違う世界の住人ですよ。まずね、郵便局の窓口からして、こうです。
「千円、切手をください」
「はい。何円切手でご用意しましょうか」
「千円切手でお願いします」
もうこのとき、ドクン、聞こえたね。郵便局員さんの、ドクン、聞こえちゃいました。もうね、心配。貧血になって倒れないか、ほんと心配だったわ。これでドクンさんが床に倒れて大怪我とかしたら、あれなの? 損害賠償請求とかされるの? 刑事罰とかあるの? 被告人、千円切手を口答で所望した件により、三年の懲役に処す、とか裁判長に言われちゃうの? マスコミに卒業文集とか晒されちゃうの? へー、将来の夢、コックさんなんだって!
ドクンさん、真っ青な顔で叫びましたね。
「店長ー! 千円切手が出ます!」
「なんだと!」
この、なんだと、は、そうですね、震度 3 くらいでしたかね。
バックヤードで話し合っているのがいろいろ聞こえるわけですよ。すぐに在庫を確認するんだ、とか、どうしてこんなことになってしまったんだ、とか、今年のボーナス大丈夫かな、とか、もう私の手には負えない、とか、「西」の力を借りよう、とか、だからあの女とは離婚するって言ってるじゃないか、とか、こうなったら脂肪吸引しかないな、とか。なんだかいろいろたいへんそうでした。
三分くらい待たされましたかね。さっきのドクンさんが、震える両手で持ってくるわけですよ、千円切手を。
もうでかいの。すごく。ざっと B5 ノートくらいあった。なんか透かし彫りとかしてあったし。
「ラミネート加工しますか?」
あ、そういうのあるんだ、と思ったね。
せっかくだからお願いしましたよ、ラミネート加工。ぱっと見は iPad みたいになりましたね。友達に自慢するにはもってこいですよ。ねえねえ、これってどこのタブレット端末? JP だよ。え、JP って、ジューレット・パッカードのこと? へえ、やっぱりあそこはすごいね! こいつバカじゃねえの?
それで買ってきた千円切手がどうなったのかというと、実はまだ家にあるのです。