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- 05/10/03 -

 理論じゃないよ

A : What is your major?
B : Not theory.
A : Do you mean it is experimental?
B : No, it is theoretical.
A : What kind of theory?
B : Not theory.
A : Don't you major in theory?
B : Yes, I major in theory.
A : What kind of theory?
B : Not theory.
A : Not theory?
B : Yes. My major is "knot" theory.
 B はこの日のために knot theory を専攻してきたに違いない。

- 05/10/05 -

[ ShortEssay ] 西日暮里のルーツ

 ある方が教えてくれたのだけど、西日暮里のルーツはフランスにあるらしい。フランスのシャンパーニュ地方に位置するランス、そこに一人の男が生まれたことから物語は始まる。彼は幼い頃に両親を亡くし、満足な教育も受けず、その日暮らしの生活を送っていた。何も考えずに生きているような男であったが、しかし彼には誰にも話していない夢があった。彼は、世界中の様々な場所を旅して、どこか誰も自分を知らない土地に渡り、そこで暮らすことを夢見ていたのである。詳細は略すが、彼は数え切れない苦難を乗り越え、とうとう東の果てである日本にまで辿り着き、日暮里の西に住み着くようになった。彼はそこで発泡性ワインの製造に取り掛かったのである。彼の生まれ故郷であるシャンパーニュ地方がシャンパンの産地であることは皆さんも御存知であろう。西日暮里の街は発泡性ワインの製造によって発展し、その名を当時の日本中に響き渡らせた。今でも西日暮里に酒屋が多いのはこの名残りである。駅前の広場にある石碑を見れば彼の名が深く刻まれていることが分かるだろう。さて、この話を聞いてもあなたはまだ西日暮里のルーツがフランスにあることを信じられないかも知れない。実はこれには明白な根拠がある。彼の生まれ故郷のランスであるが、ランスから西南西に百キロほど進むとそこにある街は、そう、花の都パリである。つまり、ランスの西にはパリがある。西にパリ、西にっパリ、西日暮里。めでたしめでたし。

- 05/10/06 -

 Peanuts meets Sazae-San

 サーリーーさん、サリーさん、サリーさーんは愉快なんだーーーー。
「さあーて、来週のピーナッツは?」
「ルーシーです。最近ライナスが生意気で生意気で仕方ありません。ことあるごとに格言と屁理屈を持ち出してきては私の言うことに口答えします。このままではロクな大人にならないことでしょう。教育に最も必要なのは、間違いを間違いときちんと教え諭し、然るべきときには体罰をも辞さないことです」
「来週は、ルーシー大いに語る、ルーシー大いに怒る、ルーシー大いに殴る、の三本です。来週もまた見て下さいねー。ン、ガ、ン、グ」
 お前、誰だよ。

- 05/10/11 -

[ ShortEssay ] 女心と秋の空

 風の冷たい十月の日曜日に田舎の公園で四年間付き合ってきた彼女からいきなり別れ話を切り出されてベンチで落ち込んでいたら急に土砂降りの雨が降り出してきて傘なんか持ってないし近くにコンビニもないしお腹の調子も悪いし家賃も払えないしでちょっと死ぬことを考え始めたひとが目の前にいたとしたら、僕はレインコート姿で大きな傘を差して彼に近付き「女心と秋の空だね。どっちもすぐふる。ププッ」と元気付けたいけれど、残念ながら命が惜しいのでまだやったことがありません。

- 05/10/20 -

[ GreenEyedCats ] キジとクマとヴァイス

 秋になってから僕の部屋には三匹の猫達が住み着くようになった。
 ある小説の主人公は二十四歳で双子の女の子と暮らしていたが、僕は二十三歳で三匹の猫達と暮らしている。これは結構いい勝負なのではないかと思う。

 猫達が生まれて間もない頃から、僕は彼らのことを知っている。
 近所に黒っぽい色をした縞模様の猫がいた。鈴のある首輪をしていたが、いつも塀の上や家の間を歩いていて、あまり人に懐かないような猫だった。それが春の終わりに子供を生んだ。飼い主には猫を室内に入れておく習慣がなかったらしく、小猫達はその家の前にある階段でよく寝ていた。最初は人が近付くと怖がって逃げていたが、少しずつ周りの環境に慣れるようになり、やがて近所でも評判の小猫達となった。
 小猫達は裏道を駆け回り、自転車のペダルを動かして驚き、取っ組み合いをして遊んだ。恐らく飼い主により、首輪がつけられた。ダンゴムシと格闘し、テニスボールを奪い合った。背の低い木に登り、草の露を舐めた。電信柱の上で鳥が鳴いているとその音を真似て奇妙な声を出した。小さな猫達の大きな存在は近隣の誰もが知るところとなった。夜道に猫を見付けると少なからぬ割合の人間が足を止めた。
 その頃の猫達は植え込みを寝床にしていた。小さなマンションの駐輪場の脇にあるひっそりとした植え込みで、三匹も猫が暮らしているために、そこからは少しばかり悪臭がした。全く、困っているんだよ、とマンションの住人が不愉快そうに話した。誰もが猫を好き好んでいるわけではなかった。飼い主の家にはもう終わった選挙のポスターが未だに貼り付けられていた。夏が終わろうとしていた。冷たい雨が多くなった。

 僕は猫達に餌を与え、水を与え、屋根を与えることにした。僕の外出時には一緒に外に出てもらうが、部屋に戻るとすぐに窓から入ってくるので、どうやら嫌われてはいないらしい。
 雄の雉猫にはキジと名付けた。キズと呼ぶこともある。尻尾がカギ尻尾になっていて、よく引っ掛かったりしている。部屋の隅、押入れ、ダンボール箱の中といった狭い場所にいることを好む。
 雄の黒猫にはクマと名付けた。顔付きがどことなく熊に似ているからだ。気質は割と穏やかで大人しく、よくベッドやクッションの上で寝ている。滑らかで真っ黒な毛並みが美しい。食欲旺盛。
 雌の黒猫にはヴァイスと名付けた。Vice ではなく Weiss である。体付きが小さく、とても軽い。大きな目と小さな顔が愛らしいが、少しばかり気性が荒い。黒い毛にうっすらと縞模様が見える。
 猫達は部屋の中で暴れたり眠ったりしている。ここで生まれ育ったと言わんばかりに勝手に遊んで暮らしている。初めは部屋に入るのさえ躊躇していたことを思えば、これもひとつの成果と言えるのかも知れない。

 三匹の猫達は、本当は、四匹の猫達になるはずだった。
 でも、今となっては雄か雌かも分からないもう一匹の猫は、世界のどこかに行ってしまい、二度と戻ってはこなかった。僕は時々、その猫のことを考える。三匹の猫達は、もう一匹いたかも知れない自分のことなどすっかり忘れて、今日も無心にモンプチを食べている。モンプチは人間から見ても美味しそうに思える数少ないキャットフードのひとつだと思う。

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