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- 06/07/13 -

[ Introduction ] まいななはじめて物語 1/7

「というわけで、自分の雑文に影響を与えたであろうサイトを大々的に紹介して礼賛するという嫌がらせ企画第一弾です。第一の嫌がらせはリンクを張る、第二の嫌がらせは美辞麗句、第三の嫌がらせはメール送信。基本トリプルヒットですね。別名ガイル三段です。怖い怖い。いや、流石にそこまではやりませんよ。誰だって殺されるのは嫌ですから。死にたくないなら他人の恨みを買わなければ良いのです。吉良吉影は静かに暮らしたいのです。
 そうそう、新井理恵の漫画に『私の弟って凄くカッコイイ、というかキレイなんだよね、で、私と弟はそっくりだってよく言われるんだけど、姉弟でそういうのってなんか嫌じゃん』というネタがありましたね。自分がいかに美しいかを嫌々っぽく婉曲に喧伝する、という。発想の基本はアレです。

KM

 淡々とした文体で敢えて間違えた視点から物事にツッコミを入れています。武器で言えば狙撃ライフル。友人に紹介されて知ったサイトなのですが、初めて読んだのは『果物よ響け』でしたね。エッセイとミニエッセイとスーパーショートが中心で、特にミニエッセイに鋭く光るものがあります。もう六年も更新されていないところがわびさびですね。わびさびです。
 一例として、次の文章を取り上げましょう。ミニエッセイの『もったいないオバケ』より。

 「どっちの料理ショー」という番組の話は以前にしたと思う。もう一度番組内容を簡単に説明しておくと――二つのメニューが用意され、ゲストにどっちを食べたいかを決めてもらう。そして多数決で多い方のメニューを選んだ人のみが食べられる――という編成。
 このどっちのメニューにするかの決断に、番組の90%以上の時間(45分くらい)を費やすことになる。優柔不断もいいところだ。食べ物屋に行って、45分間もメニューを眺めていたら店員さんはいい顔をしないだろう。

 この『どっちの料理ショー -> 45分間も注文で悩み続ける -> お前は食べ物屋で店員を困らせる優柔不断な奴か!』という無理矢理な流れが実に素晴らしいですね。なんというか、ツッコミのあまりの大人気なさというか、ひねくれた中学生のような発想というか、そういうところがたまりません。歳を取ったら息子の嫁に嫌われるタイプですね。
 こういうネタも好きです。ミニエッセイの『腕時計型腕』より。

 何かの映画かTVドラマかで、中学校くらいの教室のシーン。先生が
「ここ試験に出るよ」
 と言うと、生徒が全員声をそろえて、
「えー!」
 ――どうしてこういう反応になるのか、少し疑問だ。試験に出るという有益な情報を与えてくれているんだから、ブーイングはないだろう。嫌いな教科で、
「ここ試験に出さないよ」
 と言われたら、試験に出ないようなことを、授業中に理解しようと頑張ってたのが反映されないから、ブーイング……で、まだわかるのだが。
「私、試験にでるよ」
 と言われたら、どう反応していいか困る以上に、どんな試験なのか非常に興味深いところだ。

 お分かりのように、途中までは誰にでも思い付くようなネタです。こういうことを言い出すクラスメートの一人や二人、どこの学校にも必ずいたことでしょう。問題はオチです。そう来るか、と誰もが意表を突かれること間違いなし。ここがスナイパーっぽいというか、狙い澄ましたタイプの馬鹿っぽくてとても好感が持てますね。基本的にエッセイを書く人間なんて全員馬鹿だと思います。あれ、気が付けば全然褒めていませんね。不思議だ。ええと、大好きです。終わり」
 とザンギエフは言った。続く。

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