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- 06/04/26 -

[ GreenEyedCats ] Dialogue Part I b

「それから?」
「うん、引っ越しをしたんだ。多分、猫達はもう二度と自分の母親に会えないと思う」
「まあ、やっぱりそうなんだろうね」
「悪いとは思うよ。でも仕方のないことなんだ。誰かと一緒に生きるってのは、その相手に多かれ少なかれ迷惑を掛け続けるってことなんだし、それが嫌なら井戸の中で念仏でも唱えているしかないんだ」
「…そんな極端なものでもないと思うけどね」
「確かに。猫達を運ぶのにはやっぱり洗濯ネットと旅行鞄を使ったよ。引っ越し先に着いたときには、鞄の内側がびっしょりになってた。きっと暑かったんだろうね」
「はは、かわいそうに」
「新しい部屋には小さな庭があって、朝は日差しがすっと入り込んでくるんだ。猫達はよくそこで気持ち良さそうに日向ぼっこをしている。もうすっかり溶け込んでくれたよ。近所の子供が部屋の前を通ると、猫を探しているのが分かるんだ。そういうのって、悪くないもんだよ」
「うん、分かるよ」
「…まあそれでも、色々あったんだけどね」
「ほう。例えば?」
「引っ越しの前に、ヴァイスが怪我をしたんだ。右足。どうしてそうなったのかは分からないけど、とにかく右足に怪我をして、傷口からちょっと血が出ていた。ほっとけばすぐ治るような傷だったんだけど、ほら、猫は舐めるからね。少しずつ時間をかけて、徐々に悪くなっていった。一ヶ月くらい続いたかな。骨のような地肌が見えていたよ。右足を引きずるようにして歩くんだ。もう痛々しくてね。そこで、さっき言ったクマのカラーをつけてもらったんだ。なんとか無事に良くなっていったよ。今はもう完治して、傷口の毛も生え揃ったんだ」
「なるほど。良かった良かった。クマの方は?」
「近所の家で飼っている小鳥を襲おうとして、僕と近所のひとの大目玉を食ったよ」
「あはは」
「やれやれ」

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