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- 06/02/25 -

 「色々あった。」

 びっくりするほどつまんない話をしてもいいですか。

 有楽町で切符を買ったときのことなんですけどね。百六十円の切符だったんで二百円入れたんですよ。そうしたら十円玉が四枚返ってくるじゃないですか。そのうちのひとつがですね、やたらと汚かったんですよ。ほら、よくあるじゃないですか、錆びみたいなのがついていて、汚くなってる十円玉。汚い硬貨っていったらやっぱり十円玉ですよね。あんまり、汚い一円玉とか、汚い五百円玉とか、見ないじゃないですか。あれは硬貨の中で最も流通量が多いのが十円玉だからなんですよ。あ、こんな口から出任せ、信じるひといませんよね。君以外は。それでですね、あまりに汚かったから、その十円玉の発行年度を確認してみたんです。そうしたら、平成十一年。そこでついにブチキレですよ。お前はどんだけ若年寄りなのかと。お前はどうしてそんな風になってしまったのかと。お前の人生に一体何があったのかと。友達の兄ちゃんがバイクを持っていたのかと。先輩がヴィジュアル系にはまっていたのかと。気が付けば同人誌を買い集めるようになっていたのかと。そんなやりきれない思いで十円玉を見つめていました。いや、てっきり自分より年上だと思い込んたんですよ。あれだ、新しいバイト先に行ったら、なんか完全に上から目線で指示を出してくるひとがいて、ああ、ここの社員さんなのかなって思ってたら、帰りにタイムカード押していて、実はそいつも同じくバイトで、しかも年下で、おいおいなんでタメ口きいてんだよ、ていう。もうね、そんな十円玉にタメ口きかれて黙っているほど自分も大人しくないですよ。だって、平成十一年生まれってことは、七歳児ですよ。十円玉を睨み付けたんです。夕方の有楽町で。独り。寂しく。「ゴンドラの唄」を背中に。

 そしてその十円玉がどうなったのかというと、実はまだ財布にあるのです。

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