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- 05/12/27 -

[ GreenEyedCats ] 猫とクリスマス

 クリスマスの少し前から、猫達に何かをプレゼントしようと考えていた。
 こんな機会は滅多にない。少なくとも僕はこれまでの人生で、猫に何かをクリスマスプレゼントしたことはなかったように思う。クリスマスプレゼントというものは、大抵の場合、人間から人間に与えられる。そこに猫の入り込む余地はあまりない。まあ猫というのは概してそういうものだ。節分にも七夕にも十五夜にも、猫はあまり関係しない。ハロウィンには少し出番があるようだけど、まあそんなことはどうでもよろしい。
 プレゼントをあげること自体はすぐに決めたのだけど、猫達が何を欲しがっているのかなんて、そりゃあ猫達が何を欲しがっているのかくらい分からない。何か欲しいものはないかと尋ねてみても、何も知らない振りをして「にゃあ」と鳴くだけだ。あるいは「あーうー」や「ほーほけきょ」と鳴くだけだ。頼むから日本語を使って欲しい。君達はニューヨークでも東北弁で押し切る田舎のおばちゃん達か。
 最初に考えたのは猫用のソファ、あるいは猫用のベッドであった。しかし考えてみれば、猫達は僕のベッドの上で寝るのが習慣となっている。慣れた広いベッドと新しい狭いベッド、果たしてどちらを選ぶだろう。よく分からなくなってきた。思うに、当たり前のことだけど、ペット用品店に置いてある商品というものは、ペットが喜ぶものというよりは、ペットを飼っている人間が喜ぶものなのだろう。ケージにしてもキャリーバッグにしても、猫達が欲しがっているようなものとは思えない。どこに自分の爪切りを欲しがる猫がいるだろう。
 なんだか自分自身が子供に百科事典を買い与える親のように思えてきた。これなら近所の魚屋でアジの切り身でも買ってきた方がずっとましじゃないか。

 代々木上原の駅の中にペットショップがある。ショーウィンドウでは小猫と小犬が遊んでいて、こじゃれた横文字の缶詰が並んでいる。そういうお店だ。十二月二十六日の夜、そこで木製の外国のおもちゃを買った。球形をしていて、転がすと音が鳴る。猫にはちょうど良さそうだ。何よりも見た目がいい。
 地下鉄で少し眠り、寒い夜道を歩いた。部屋に戻るとすぐに猫達がやってきた。僕はクマとヴァイスに一日遅れのクリスマスプレゼントを差し出した。猫達がそれに興味を示したのは十秒くらいで、あとはそれを下敷きにして毛布の上で寝てしまった。頭を撫でていたらヴァイスが指を舐めてきて、そして軽く甘噛みをしてきた。あの、それはちょっと痛いから止めてくれませんか。猫達からはいつもいい匂いがする。メリークリスマス。

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