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- 06/05/27 -

 神経を衰弱させろ

 あの、神経衰弱って有名なゲームがあるじゃないですか。ほら、裏だけじゃ区別のできないカードが何十枚かあって、それぞれのカードにはペアとなるカードがあるっていう。ペアっていうのは、おんなじ絵柄の場合が多いですけど、あれですよね、トランプにはおんなじ絵柄のカードがないから、同じ数字ならいいや、とか、いや同じ数字でかつ同じ色のスートじゃなきゃダメだ、とか、いやいや数字は足して十四でかつスートは全く同じじゃないと、とか、でもそれだと七のペアができないじゃん、とか、七はダミーって紀元前から決まってんだよ、とか、いやいやいや数字は足して三十七でかつスートは足して五十九じゃないと認められない、とか、お前らがちょっと黙ってろ俺がもう一組トランプを買ってきてやるから、とかね。でもそれで買ってきたもう一組のトランプ、さっきのと裏の絵柄が違ってたりするんですよね。反対側にあるの、バレバレじゃん、みたいな。しょうもないなあ。
 とにかく、神経衰弱ってあるじゃないですか。不思議なんですよ。あれって、なんで、神経衰弱って名前なんでしょうね。いや、そりゃ少しは疲れますけど、まあ、少しだけじゃないですか。衰弱、なんて、おっそろしい名前を付けるこたない。神経疲れる、とか、神経使う、とか、そんなんで十分ですよ。神経出し惜しみ、でもいいかも知れない。そりゃ丸二日続けても勝負がつかなかったら神経も衰弱するかも知れないですけど、それ、かなり無茶苦茶な状況なんじゃないですかね。カードの絵柄がデジタル時計になっていて全部で二千八百八十枚ある、とか、よくある間違い探しみたいに絵柄がどれも殆ど同じなんだけど微妙にちょっとずつ違っている、とか、誰かがひとつでも間違えたら全員これまで取ったすべてのカードを場に戻してシャッフルする、とか。もうあんまり神経関係ない。根性とか執念とか、そういった種類の問題だと思う。
 それでですね、普通は神経衰弱なんてすぐに終わりますよ。一時間あったら終わる。間違いなく終わる。全然、神経、衰弱しない。それなのになんで、そんな、記憶力大会開催中ー、あの名人の神経の衰弱する瞬間が見れちゃうかもー、みたいな名前なんでしょうね。多分、あれね、考え付いたひとがあれだったんですよ。うわー、凄いゲームを思い付いちゃったー、よーし、こんな難しいゲームだからー、遊んだみんなの神経も衰弱しちゃうぞー、みたいな。あのな。お前以外の誰の神経が衰弱するんだっていう。もう名前負け、ひどすぎ。そんな名前を思い付いたお前の神経が衰弱しとるわ、ていうね。絶対に考え付いた奴、友達から馬鹿にされて、なんか、あだなに神経衰弱とか付けられたと思う。三ヶ月は神経衰弱って呼ばれ続けたと思う。それで、なんだか気が付いたときには神経衰弱が世間に浸透しちゃってたもんだから、どこに行っても神経衰弱って言葉が耳に飛び込んできて、その度にトラウマスイッチオンなわけで、もうどうしても逃げ切れなくなって、本当に神経衰弱になっちゃったんだと思う。かわいそうな神経衰弱君。
 ああ、分かった。それで、神経衰弱による神経衰弱君の死を悼んで神経衰弱って名前が正式に付けられたんだ。悲しいゲームだね。泣けるね。真実はいつだって残酷だね。

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