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- 06/05/26 -
■ 「ダ・ヴィンチ・コード」に物申す
映画「ダ・ヴィンチ・コード」が大人気だそうだが、あれは本来 "The Da Vinci Code" なのだから、「ダ・ヴィンチ・コード」ではなく「ザ・ダ・ヴィンチ・コード」が正しいはずなのだけど、「ダ・ヴィンチ・コード」と比べると「ザ・ダ・ヴィンチ・コード」は格段に語呂が悪く発音も困難を極めるため、もし原作がこのタイトルだったら全然売れなかったと思う。返本の山だったと思う。担当の営業は首を切られていたと思う。一家は離散して父親は首を吊っていたと思う。母親と娘はパチンコ屋の清掃アルバイトで細々と暮らしていたと思う。二人は古本屋で「ザ・ダ・ヴィンチ・コード」を見掛ける度にすべて買い取って河原で積み上げて燃やしていたと思う。映画の方も全く話題にならなかったと思う。何か、ミニコミ誌というか、「ぱど」みたいな雑誌で取り上げられるのが関の山だったと思う。それも映画コーナーじゃなくて投稿コーナーだったと思う。しかも「こないだ彼女と観に行きました。あんまりよく分かんなかったけど、最後に彼女が泣いてたから、いい映画だったんだと思います」みたいな内容だったと思う。その彼女も別に感動したから泣いてたんじゃなくて、子供の頃に飼っていた子犬が事故で死んだときのことを思い出していたから泣いただけだと思う。母親と娘はそんな彼女を殺しに行くと思う。
それはいい。それはともかく、「ダ・ヴィンチ・コード」はおあつらえ向きにちょうど七文字である。そして我々は日本人である。「ダ・ヴィンチ・コード」は七文字だ。我々は日本人だ。そう、詩歌である。
世の中はいつも月夜と米の飯それにつけても「ダ・ヴィンチ・コード」
大人気にも程がある。金の欲しさよりも映画の観たさかよ。
泰平の眠りをさます上喜撰「ダ・ヴィンチ・コード」で夜も眠れず
思い出すだけで眠れないのかよ。幾らなんでも反芻し過ぎだろ。牛かよ。
「この味がいいね」と君が言ったから七月六日は「ダ・ヴィンチ・コード」
凄え。記念日にまでなっちまったよ。どんだけ面白いんだよ。母親と娘も観に行けよ。
久方の光のどけき春の日にしづ心なく「ダ・ヴィンチ・コード」らむ
もう何が何だか。