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- 06/05/06 -

[ GreenEyedCats ] 幸せそうな猫の家族

 クマがちょっと優しくなった。

 クマはそもそも勝手な奴だ。ヴァイスが割と従順で大人しいというか、注意されたことはきちんと守ろうとする、お行儀の良い猫であるのに対して、クマは何度怒られても壁を引っ掻くのを止めようとしないようなところがある。また、ヴァイスは普段から物静かで鳴き声もあまり大きくないのだけど、クマは僕が買い物に行くだけでも大声で鳴き出して、周囲の注目の的になろうとする。そのせいか、近所ではクマばかりが有名になって、ヴァイスの名はあまり広まっていないようだ。そういえば僕の膝の上に登るのもクマだけで、ヴァイスはもうそういう真似を止めてしまった。これは少しばかり寂しい話である。
 小猫達が生まれても、クマの勝手な気質は変わらなかった。流石に小猫達が生まれたそのときばかりは、粘液で濡れた鼠のような小猫達を必死になってヴァイスと一緒に舐めていたけれど、それでも一時間も経てばふらりとどこかに行ってしまった。毎晩毎晩ヴァイスと小猫達が押し入れの暗がりでじっとしている間、クマはベッドの上やクッションの上でのんきそうに眠っていた。クマにはもう小猫達が見えていないのかも知れなかった。
 大家さんはどうやら把握していないようなのだけど、僕が住んでいるところの二階でも猫を飼っているようで、窓越しに猫の顔がうっすらと見えていることがある。クマは夜な夜なその窓の前で立ち止まり、大きな声を上げて人間には理解しがたいメッセージを高らかに歌う。また、近所にいる縞猫と向き合って唸り合っていることも多い。時には正面から衝突してしまうこともあるくらいだ。近所迷惑だから止めてくれと言っても聞こうともしない。全く、困ったものである。

 そんなクマが、最近はヴァイスや小猫達と一緒になって、よくベッドの上で幸せそうに眠っている。小猫の背中を舐めることだって珍しくない。近所に迷惑をかけるような真似も減ったように思う。何がクマを変えたのか、僕にはよく分からない。動き回れるようになった小猫達の存在かも知れないし、あるいは五月の暖かく穏やかな空気かも知れない。何だっていい。肝心なのは、クマがほんの少しだけ優しくなってくれたお陰で、僕の部屋に幸せそうな猫の家族があるということだ。

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